「現役生だけど成績的に医学部やめて薬学部にしようと思ってる…」
「浪人してまで医学部入るメリットってあるのかな…」
「医学部と薬学部どっちがいいのかな…」
このような疑問を持つ方や親御さんに向けての記事になります。
結論から言うと、このような疑問を持っている時点で医学部を目指したほうがいいです。
こんにちは!
僕は現在、国公立の医学部に通っていますShinと申します。
今は医学部に在籍していますが、この問題は僕自身、高校2年生の時に悩んだ経験があります。
現役で薬局長をしている母親からのアドバイスや薬学部一本で勉強に励んでいた友達の姿勢をみて医学部を志した僕ですが、本記事では医学部の観点からみた「医学部をオススメする理由」を発信していきます。
薬学部に進むと学歴コンプレックスを発症しやすい
一番多いのがこの問題ではないでしょうか?
「医学部を一時的にでも目指してたんだから、ほかの学生よりも優秀に決まってる…」
こう思ってしまう学生が多いようです。
こういった学生の特徴として
- 医学部を目指してたことを自慢する
- 「俺は医学部に行く」と周りに豪語する
- 周りを見下すような態度をとる
- 薬学の勉強を放棄して留年する
といった人が多いそうです。
皆さんはこれを聞いてどう思いますか?
僕は単純に「だったら始めから薬学部に入んなよ」と思いました(笑)。
同級生としても一緒にいたくないし、本人も満足していない。さらには高い入学金と授業料を払っている親御さんにも迷惑をかける____。
本当に誰も得しないですよね?
特に、薬学部をはじめから志している学生は薬学部に対して誇りや前向きな姿勢をもっていることが多いので、ムードを壊さないためにも入学するのは控えたほうがいいかもしれません。
ということで医学部に未練を残す形になるのであれば医学部に向けて浪人を検討しましょう。
また、薬剤師の母から聞いた話では、薬剤師になった後に仕事内容に不満を持った同僚が34歳から医学部受験を始めた、という人もいる(珍しくないらしい)ことからも、早めのうちに見切りをつけることは大切だと思います。
なお、医学部崩れに対する薬学部の学生の赤裸々な感想は薬剤師のメソッドさんで語られているので興味のある方はぜひ閲覧してみてください。
医学と薬学ではそもそも分野が違う
結論から言うと医師は人体と病気のプロ、薬剤師は薬のプロです。
「医学部か薬学部か…」
このような考えを持っている人の多くは医師像を思い描いたことは無いでしょうか。
聴診器を当てたり、患者さんの訴えを聞いて適切な処置をしていく___。
学生時代には人体解剖や実習を通して医学について学んでいく_____。
このようなイメージを持っている方が多いと思いますが、薬学部ではこれらのことは学ばないのが現状です。
先述した通り、薬学師は薬のプロなので学ぶことは薬に関する内容が多くなります。化学反応や薬の機序の理解、出された処方箋に基づいた適切な薬の選択などが求められます。
こういったことからも、医学部と薬学部では求められている能力が違うので、単純に医学部を諦めて薬学部に行くことは手放しにオススメできない理由になります。
分かりやすく言うと、アニメでいうと鬼滅の刃を見たことがないのに映画を見に行く、現実でいうと知らないバンドのライブを見に行くようなものです。(意外とハマったりして)
医師と薬剤師では給料と権限が違う
給料面に関しては、「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」の「職種別常勤職員1人平均給料年(度)額等」では、一般病院に勤務する医師の平均年収は1490.8万円で、薬剤師の558.8万円の約2.6倍となっています。
日本の平均年収が461万円なので、両方とも日本全体で考えると結構稼げる部類の職業ではあるようです。
※実際には残業時間が医師のほうが多かったり、夜勤があったりと医師の年収が高いのにはある程度のカラクリがあるのですが、数値的には医師の給料は高くなっていますね。
また、医師と薬剤師の権限の違いとして挙げられるのが「処方箋を出せるか出せないか」です。
現在の法律では、医師が出した処方箋をもとに、薬剤師が処方箋に応じた薬剤を出すのが決まりとなっています。つまり、医師がいなければ薬を出せない、ということになります。
実際に合った事例として、僕の母親が勤務する薬局の隣の病院の医師がなくなったことで、薬局が経営できずに閉業した、という事例がありました。この時、薬局には4人の薬剤師がいたのですが、医師がいないから、という理由で閉業を迫られたようです。
僕自身は、このことを知ってから医師を志すようになったのですが、是非はあるでしょうが現実として医師による裁量が多いのは事実な様です。
給料面や権限は、ある程度学部の選択で決まってしまうので、これらの点を抑えておくことは大切です。
ただここまで聞くと、
「薬剤師にはメリットねえのかよ」とか
「お前が医学部だからポジショントークしてんじゃねえのか?」
といわれそうなのですが、もちろん薬剤師にもメリットがあります。
僕が知るうえでは薬剤師のメリットとして
- 残業時間が極端に短いので自分の時間がとりやすい
- 労働環境のわりに給料が高い
- 夜勤がない
ことが挙げられます。
まずはデータから見ていきましょう。
(引用:https://www.ph-10.com/yakupresso/articles/258/)
このグラフでは薬剤師の1か月の残業時間の割合を示しています。
転職サイトのdodaが2020年8月に15,000人に対して行った残業時間の調査にて、1ヵ月あたりの平均残業時間が20.6時間であることに比べると働きやすい職業であることが分かります。
また、医師の残業時間が1か月あたり平均34.1時間であることからも働きやすい職場であることが分かります。
これに加えて夜勤もなく、肉体労働が少なく、給料もいいという点で「薬剤師はライフワークバランスを重視した働き方ができる」仕事であるといえるのではないでしょうか。
※実際に僕の母親も9時から18時までの勤務で固定されていましたし、そのおかげでママさんバレーにも参加できていたり、十分な休息もとれていたようなので「結構充実してるな~」と思って見てました(笑)。
ちなみに母親の直近3か月の残業時間は30分だったので、薬剤師いいなーとも思いました。
両方とも6年間の勉強が必要
医学部と薬学部では国家試験の合格までに最低6年間かかります。
以前は薬剤師の資格をとるのに4年制が採用されていました。
4年制が採用されていたころは、金銭的にも年数的にも医学部と差別化ができていたのですが、2006年からは薬学部でも6年制に変更されたため、このアドバンテージはなくなってしまいました。
上記でも記載した通り、医学部と薬学部では金銭と権限の面では医学部のほうが高い傾向にあります。
そのため、「薬の勉強がしたい」といった薬学部へのこだわりや偏差値を考えなければ同じ6年間であれば、医学部のほうがお得といえます。
実際には偏差値だったり、入学してからはどうなの?という話も絡んできてこんな簡単に議論できる話ではないのですが、あくまでも入学に焦点を置くと医学部をオススメしておきます。
※薬学部では薬剤師を目指す6年制のコースと卒業後薬剤の研究を行うことを目的とする4年制のコースがありますが、この場ではあくまで医師と薬剤師で比較したいのでここでは割愛します。
医師・薬剤師の需要と供給問題
いまや、コンビニよりも多くなった薬局____。
薬局の隣に別の薬局が並んでいる、といったことも珍しくなくなりました。
皆さんも薬局が隣接している様子を見たことは無いでしょうか?
では、はじめに
薬剤師の現状としては、厚生労働省が提示した以下のデータが参考になるので掲載しておきます。
(引用:https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000772130.pdf)
このデータでは、2020年以降は薬剤師の需要量よりも供給量が増えますよ、ということが分かります。
一般的に需要量よりも供給量が増えると、雇用の数が薬剤師数に対して少なくなったり、給料の引き下げといった問題が起こります。
このデータでは、いま働いている薬剤師ではなく、今後薬剤師を志す学生が苦労をする可能性がある、ということは理解できると思います。
厚生労働省のデータはあくまで試算なので確実なこととは言えませんが、事実として2020年ではついに供給数が需要を超えた事実からも信ぴょう性のあるデータといえるのではないでしょうか。
では次に医師数のデータを見ていきましょう。
(引用:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000203368.pdf)
このデータでは、2024年から2033年に需要と供給が入れ替わるということが分かります。
「あれ?意外と医師も飽和が近い…」
ぶっちゃけ僕はこう思いました(笑)。
ただ、2024年に医師数が飽和するという試算は、医師の労働環境が改善されなかった場合の指標です。
医師数が増えれば、労働環境の改善につながることため、医師数が増加しても2043年までは医師数の飽和は実質的に起こらないことが書かれています。
そのため、ちまたでも医師数が飽和するであろう時期が10年後から20年後と予想されることが多いです。
現在飽和が起こっている薬剤師と近い将来、飽和が見込まれる医師___。
期待値的に、今後どちらかの入学を検討しているのであれば医学部のほうをオススメしたいですね。
ただ、この飽和とは「特定の地域に密集せずに市町村の人口にあった人数を配置した場合」によるものなので、首都圏を除く地域ではしばらく、薬剤師も医師も問題ないようです。
1,2浪してでも医学部に入学する人が多い
よく「一浪医学部か現役薬学部か」といった論争が起こりますが、これも断然医学部をオススメします。
こういった質問をしてくる人の悩みとして
「浪人が不安」
「大学生活で馴染めるか不安」
といったことが挙げられますが、これらの不安は感じる必要は特にないと思います。
なぜなら、医学部に入学すると同級生の半分以上は浪人経験をもつ人だからです。
これに関しては合格者の占める割合でも「現役生が38%、1浪の受験生が33%、2浪が13%、3浪が5%、4浪が8%」というデータが出ています。つまり、7割弱の学生が浪人を経験している、ことになります。
一般的な大学では、浪人率が21%(文部科学省の「学校基本調査」による2018年度のデータ)であることを考えるといかに医学部が浪人しやす医学部かが分かります。
このデータから見ても、医学部での浪人は基本的に珍しくないです。
実際の事例では、予備校の同僚が先輩後輩の関係になる、予備校の前の公園の話で盛り上がるといったことが起こっています(笑)。
僕の友達でも、3浪と4浪の友達がいますが、エピソードが面白くて一緒にいて楽しい存在です(笑)。
現役生・浪人生も入学してからはすべてが同じなので、浪人することによるデメリットは時間とお金が余分にかかることだけです。
お金に関しては、医学部入学レベルになっていれば予備校代が安くなったり、入学後は手厚い給付型の奨学金が取ることができるので(条件あり)、十分目指してみる価値はあると思います。
とはいえ、医学部に入学するのは大変
とはいえ、医学部の難易度は高く、最低でも河合塾の模試で偏差値65以上はほしいようなところが多いです。
これが難しいんだよ!と思われるかもしれませんが、上記でも書いた通り医学部は入学できれば、結構優遇されています。
「勉強法は?」
と聞かれることも多いですが、そんな急に偏差値が10も上がる魔法なんてものはなく、結局いかに机にかじりついたかが重要になります。
大体この手の質問をしてくるような方は努力が足りていないし、これがクリアできなければ医学部を卒業するのも難しくなってきます。
ですので、まずは机に向かうことを習慣化することが大切なのではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本記事では、薬学部と医学部を比較して、どっちがオススメなのかを列挙していきました。
本記事では、「医学部を諦めて薬学部に変更しようとしている」人に向けた記事として情報を発信していきましたが、薬剤師もかなり魅力的な職業なんですよね(笑)。
ただ、結局は難易度に縛られないで、自分がどっちに関心があるのかで進路を決めてほしいと思います。
偏差値に縛られていると、仕事に不満を感じたり、コンプレックスを発症したり、最悪の場合、適応障害やうつ病にもなりかねないです。
せっかく資格を取るのだから本当に自分のやりたいことを実現できるような進路を選択して、悔いのない選択をしてほしいと思います。
ではまた!