医学部の面接ってどんな感じなの?
面接が怖い
面接に興味がある
今回は、僕の体験談をもとに解説していきます。
前半はエピソード、後半は解説といった構成にしていきます。
若干エンタメっぽく書いているので、その辺はご了承ください。
医学部受験での体験談
面接
この言葉を聞いたとき、皆さんはどのような印象を受けるでしょうか。
話すのが得意な人、苦手な人、あがってしまう人…それぞれのタイプによって受ける印象は変わってくるのではないでしょうか。
受験での面接、アルバイトでの面接、就職活動での面接___。
皆さんも人生の中では少なくとも一回は「面接」を受けるのではないでしょうか。
僕の初めての面接は数年前の「医学部面接」でした。
あがり症で、特に初対面での会話が苦手で早口になりがちな僕。
事前につくったカンニングペーパーを握りしめ、自分の番号が呼ばれるまでの間はカンニングペーパーとにらめっこしていた時間はまさに永遠にも近い感覚だったことを今でも覚えています。
偶然にも同じ大学を志望し、となり同士だった友人の番号が呼ばれたときは「次は自分の番か…」と思い、この後に自分が死刑台に上がるのではないか。
そんなことをずっと考えていました。
「○○番の方、部屋にお入りください」
受験担当の職員の声が静寂の中で響きわたる。
呼ばれた番号が自分の番号じゃないことを確認し、再びカンニングペーパーを眺める。
番号が呼ばれる、確認する、番号が呼ばれる、確認する____。
緊張して面接を待つ中、静寂を打ち破った彼のことは忘れない…
「失礼しまーーす!!○○番の△△です!!よろしくお願いします!!」
高らかな声とともに試験官に挨拶し、ドアの抜こうに消えていった男子生徒がいた。
静寂な受験会場でただ一人の声が高らかに響きわたり、周囲の空気をかっさらっていく。
さすがの会場もざわつき、「変な子もいるんだなあ」と思っていたのもつかの間。
「えーー、この大学を志望した理由は____。」
部屋越しにも伝わってくる彼の声。
緊張など一切感じさせず、まさに「いつもの自分」を前面に出していたのをドア越しにでも感じた。
「面白いなあ…」と思っていると、ついに自分の番号が呼ばれた。
緊張を肌で感じながらも、「いつもの自分、なんならいい子を演じよう」そんなつもりで面接に挑んだ。
どれくらい面接していただろう?
15分?30分?
とにかく自分の全力を振り絞り役者になった面接。
自分の結果に満足しながら、彼のことを思い出した。
面接が始まるまでの教室の空間では冷静では無かったこと、面接の最中の会話は緊張でうろ覚えになっていたことから「面接での緊張の異質さ」を改めて感じつつも、やはり彼だけは何かおかしかった。
面接途中でも時折聞こえる彼の声、部屋全体を包む彼の高笑い。
「面接では変な子を落とす」
これは医学部受験では広く言われていることだが、この定義に当てはめるならば確実に彼は落ちているだろう。
そんなことを考えながら、親が待っている車へと向かう。
すると帰り道に「彼」とすれ違った。
どうやら親?に面接の結果を報告しているようだった。
面接中に時折聞こえた大きな声、奇妙なくらいの高笑い。
まさにそれだった。
「もう二度と会わないだろうなあ」
そう思いながら、会場を後にした。
後日、友人も同じことを思っていたらしく、「医学部受験」の異質さを改めて実感した。
学校の先生にも話してみたが「たまにいるんだよね…(笑)」と苦笑いしていた。
自分と友人の合格が決まり、入学式を迎えた。
医学部の入学式は人数が少ないことから、ひとりひとりの名前を教授が呼び、返事をするスタイルがとられた。
「はい」
「はい」
「はい…」
みんな気恥ずかしそうに、まただるそうに返事をしていた。
自分も辺に目立ちたくなかったので、乾いた返事をし、半分くらい寝ていた。
半分くらい名前を呼び終えただろうか。
そんな時、あの声が聞こえた。
「はーーーい!!」
僕は両目を見開けるだけ見開いて声の方を向いた。
その時、僕は思い出した。
面接の日の恐怖を___。
あの日みた彼を___。
こうして彼は
大学の同級生になった___。
医学部の面接について
前書きが長くなりましたが、この話は僕が実際に経験した医学部面接の概要です。
どうでしたか?
「医学部面接ってザルなの?」
「面接が心配だったけど、意外と何とかなりそう」
いろんな意見があると思います。
僕個人の感想としては、やはり医学部の面接では合否を左右しない、というのが結論です。
なぜそう思うのか、についてこの後解説していきます。
自分は面接官ではないので、あくまで推察になるので「ほーん」くらいの感覚で聞いてもらえると幸いです。
医学部の面接について
15分程度の面接で人間性なんてわからないし、筆記試験を合格するレベルの人間を落とすのは相当の理由が必要なことを考えると、面接は確認程度で行っているイメージがあります。
どちらかというと、調査書から見て異常に欠席日数が多いことや聞かれたことに対して適切なコミュニケーションが取れるか、といった部分を重視しているなと感じました。
一般的に「医師ひとりを育てるのに1億円かかる」といわれるだけあって、
- 欠席日数の確認
→留年する可能性があるか/医師になってからの業務に支障がないか
- 適切なコミュニケーションの確認→OSCEなどの対人の試験に差し支えないか/医師として患者さんに寄り添えるか
を見ていると思います。
実際に僕は「欠席日数がゼロ日で体は強いんだね!」といった話を面接官からされましたし、友達も欠席日数についての話をされた、といっていました。
先輩のデータを見ても学校の欠席日数についての質問が多かったことからも、「学校を休まない体力・メンタルを持っているか」は重視されていると思います。
ただし、医学部に入ってみると高校時代に不登校になった人や、多浪の人、社会人の人までいるので、100%合否に直結するとも言い切れないし、しっかり返答できれば大丈夫だと思います。
今回のエピソードに出てきた「彼」はのちにADHDとアッパー型のコミュニケーション障害ということがのちに分かるのですが、入学してみるとそんな他の人と大差なかったです。
実際、「東大生の1/4はアスペルガー症候群」といわれているように、学力が高い人の中にはそういった人が確かに多いな、と感じます。
ただ、患者さん側からすれば「適切なコミュニケーションが取れて、しっかりとした医療を提供してもらえれば、その人がどういった人かは関係ない」と思うのではないでしょうか。
医学部は医師の養成所ですが、患者さん側から見て「いい医者」であれば問題ない。
言い方はあれど、これが本質だと思います。
サイコパスは落とせない理由
- 面接時間が15分程度なので、人間性まで見抜くのは無理
- 学校や予備校などで面接対策をするので、ヤバめの回答はその時に修正されている
- 質問内容の何割かは対策できる
- なんだかんだで筆記試験の比重が一番
この辺が理由としてあるのではないでしょうか。
実際、何百人の生徒を2日以内で面接することや、どうしても学力的に筆記試験ベースの入試になってしまうことからも今の仕組みになってしまうのは仕方がないことですね。
面接前に医師に聞いた合格の秘訣
「とりあえず目を見て話せば何とかなる」
これが、3人の医師に聞いたときの共通見解でした。
「それだけ?(笑)」って思いながら、面接対策をした記憶があります。
ただ医師3人に言われただけあって、その後の面接練習で絶対に目を見よう、と意識できたのがよかった記憶があります。
当たり前のことをできる___。
面接のような緊張する場だからこそ、「当たり前」の能力が求められているのかもしれませんね。
これから面接する人はぜひ意識してみてください。
これから医学部を受験する人に伝えたいこと
筆記をとれるように勉強しろ、ってことですね。
「こいつ、医学部に入れたら絶対いい医者になれたのに…」
こう思う人は何人かいました。
実際は学力が足りないせいで、医学部を断念してしまいました。
筆記ができて面接で落ちる人はごく少数ですが、筆記ができなくても面接で受かったという人も聞いたことがありません。
もしかするとそういった人もいるかもしれませんが、筆記を頑張ることが確実だと思います。
この記事を読んでいる学生は夢をかなえられるよう頑張ってほしいと思います。
ではまた!